轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
去来篇
大和路へ
一
(あの主従は、何を食べているだろう?)と思いやった。
しかし、それから、七日すぎても、十日過ぎても、土牢を破った者が捕まったという噂は聞えてこなかった。
叡山には、夏が過ぎ、秋が更け、やがて雪の白い冬が訪れた。
雪に埋った一乗院の窓からは、どんな寒い晩も、四教義を音読する範宴の声が聞えてこない晩はなかった。
去来篇
大和路へ
一
大自然のすがたには、眼に見えて、これが変ったということもないが、人間の上にながれる十年の歳月には、驚かれるほどな推移があった。
建久二年の年は、範宴少納言がこの東塔の無動寺に入ってから、ちょうど九年目に当たる。
彼は、十九歳になった。白衣を着て、黒い袈裟をかけて、端麗で白皙な青年は俗界の塵の何ものにもまだ染まっていなかった。処女のように、きれいであった。
「何と気高いお姿だろう」と、その九年の間、一日も離れることなく侍いている性善坊ですら、時には、見惚れることがあった。
背は高く、肩幅もひろいほうであった。無動寺の奥ふかく閉じ籠っているのが多いので、色は白く、唇は丹のようであった。眉は濃く太く、おそろしく男性的である。ことに、きっと一文字に結んでいる口もとには不壊の意志がひそんでいるように見えた。