轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
悪人篇
松虫と鈴虫
一
た列としか見えない。
月見も近い八月の中旬というのに今年はこれである。――変化が欲しい。何がな、変化を求めてやまないような意欲が、息ぐるしげな木々の葉にも、道の辺に這う露草の花の頸にさえあった。
「なんという暑さでしょう」
「山を歩くと、汗が出て」
「ま……せっかくのお美しい化粧が、だいなしに汚れましたこと」
「あなたも」
「ホホホ。――でも、御所の局のうちに、じっと装束を着て、かしこまっているよりは」
「それはもう、較べものにならないほど、きょうは楽しゅうございました」
「この大空を、伸々と、見ているだけでも――」
東山のあちこちを、そぞろ歩きしている二人の若い女性があった。
籠から放たれた小鳥のように、この女性たちは、他愛なく、々としていた。清水へも行った、祇園へも詣でた。――そして今、黒谷のほうへ降りてきたのである。
「松虫様」と一人は、一人のほうを呼んでいたし、松虫は、連れの者を、
「鈴虫さま」と呼んでいた。
どっちも、似たような身装をしているが、面ざしは、違っていた。松虫は、すこし年上で、十九ぐらいと見えるし、鈴虫は、十七歳ほどに見える。
すらりと、上背丈があって、面長のほうが、その年上の松虫だった。