轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
五
すり切れた草履に、埃を立て、わらわら、ここへ群れてくる人々の眼には、一滴の水でもいい、何ものでもいい、心のやすみばを――心の息づきを――干乾びきった魂の糧となるものならばと、必死に求めているような顔つきに見えた。
五
丘一つむこうでは、鍛冶聚落の刀鍛冶たちが、戦国の招来を謳歌するように、鎚音を谺させているし、ここでは、迷える民衆が、
「なむあみだぶ――」
「なむあみだぶ」一人の念仏行者をかこんで、飢えた子のごとく、群れ寄って、救われようとしているのである。
「兄上、こちらへ来たら、少しは聞えるかも知れませぬ」宗業は、人々に押されながら、禅室の横へ迫った。
混雑するはずである。禅室の庭は、二十坪ほどしかない。柴垣も破れ、庭の内にも外にも、群集が、笠を敷いたり、筵をひろげたりして、いっぱいに、坐りこんでいる。後ろの方にも、三重四重に人間が立っているのである。
八畳、六畳、小部屋が一つ。わずか三間しかない禅室も、明り障子をとり払って、縁や、土間の隅にまで、坐れるだけの人間が坐っていた。
その、真ん中の一室に、うわさの人、法然房源空は、坐っていた。
高壇もない。