轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
七
「やかましいっ」と最後には大喝を発して、顔にも、肩にも、腕にも、怒りの筋肉をもりあげ、全身をもって悪形の威厳を示した。
「おれを、賞めそやしたら、おれが喜ぶとでも思っているのか。甘くみるな。そんな生やさしい人間とは人間のできがちがう。四の五はよいから、金を出せ」
「この無住にひとしい官院に、黄金があろうわけはない」
「家探しするぞ」
「心すむまでするがよい」
「それ、探してこい」手下どもへ顎を振って、四郎は再び範宴を監視した。
終始、範宴の姿なり面からはなんの表情もあらわれなかった。四郎との一問一答がやむと、睫毛が半眼をふさぐだけのことだった。散らかって方丈へなだれ込んだ手下たちは、やがて戻ってきて、範宴の室から一箇の翡翠の硯屏と堆朱の手筥とを見出してきただけであった。金はなかったけれど、その翡翠の硯屏は、四郎の慾心をかなり満足させたらしい。
「寺には、こういう代物があるからな」と見恍れていた。そしてすぐ、
「引き揚げよう。そこいらの物を引っ担いで先へ出ろ」と命じた。
手下たちは、めいめい盗品を体につけて本堂の外へ出た。四郎は、動かしかけた足を回し、最後の毒口をたたいた。