轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
三
「胸さわぎがする」と、奥へかくれたと思うと、覚明は、逞しい自分の腰に太刀の革紐を結いつけながら出てきて、ありあう下駄を穿き、
「行ってみよう」と、山門をくぐった。
ひところ、叡山の西塔にもいたという義経の臣、武蔵坊弁慶とかいう男もこんな風貌ではなかったかと性善坊は彼のうしろ姿を見て思った。
東山の樹下から一歩一歩出てゆきながらも、二人は今に彼方から牛車の軌の音が聞えてくるか、松明の明りがさすかと思っていたが、ついに祇園へ出るまでも、他人の牛車にすら会わなかった。
「いぶかしい?」
「牛車に召されたとあるからは、この大路よりほかにないが」並木の辻に立って見廻していると、松のこずえから冷たいものが二人の襟へ落ちてくる。
三
性善坊や覚明が、その夜も更けるまで血まなこになって探しているのに、どうしても師の牛車も見あたらなければ、院へも帰って見えなかったのは、次のような思いがけない事故と事情が、範宴の帰途に待っていたからだった。
…………
まだ六条の燃えている最中。
鎌倉者の郎党が三人ばかり、松明をいぶし、牛車の両わきと後ろに一人ずつ従いて、
「退け、退けっ」火事を見に走る弥次馬だの、逃げてくる凡下や女子供を押しわけて、五条大橋を東へこえてきたのが範宴をのせて聖光院へ送ってくる牛車であった。