轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
鳴らぬ鐘
一
「よういわれた。暇を出された故主のために、そこまで、義をわすれぬお心がけは、見あげたものだ。――して、範宴さまを、訪ねてきた御用は」
「人のうわさによると、戦ぎらいの公達は、よく、三井や、叡山や、根来などの、学僧のあいだに、姿をかえて匿れこむよしです。御像にすがって、中堂の座主から、もしや寿童さまに似た者が、山に登っているか、いないか、お調べねがいたいと思って、やって参ったのでございます」話し終って、孤雲は、首を垂れた。足もつかれているらしい、胃も渇いているらしかった。
鳴らぬ鐘
一
霧がくると、窓の外は、海のように青かった。
霧が去れば、机の上に、仄かな峰の月が映す。
範宴は、宿房の一間に、坐っていた。机のうえには、儒学の師、日野民部から学んだ白氏文集が載っている。これは、山へのぼってからも、離さない書物であった。
短檠の灯が、窓をあけておいても、揺れないほどに、夜は静かなのである。――中堂の大厨の方では、あしたの朝の僧衆のために、たくさんな豆腐を製っているとみえて、豆を煮るにおいがどこともなく流れてくる。
「誰です?」範宴は、机から、板敷の方を振り向いた。