轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
七
折角、萌えかけた河原の若草も、可憐な花も、すべてその底に没している。ちょうど、彼自身の青春のように。
「もし……。あなたは、範宴少僧都ではありませんか」ふいに誰か、彼の肩をうしろから叩く者があった。人の多い京の往来である。ついに、彼の顔を見知っている者に出会ってしまった。
七
「これは、おめずらしい」と、その人はいった。
範宴は、橋の欄から振向いて、
「お、あなたは」
「ご記憶ですか、安居院の法印聖覚です」
「覚えております」
「意外なところで……」と法印はなつかしそうに眼を細めた。
磯長の聖徳太子の廟に籠って厳寒の一夜を明かした折に、そこの叡福寺に泊っていた一人の法印と出会って、互いに、求法の迷悟と蝉脱の悩みを話しあって別れたのは、もう十年も前のことである。その折の旅の法印が、今も相変らず、一杖一笠の姿で洒脱に眼の前で笑っている。安居院の聖覚なのである。
「しばらくでしたなあ。――いろいろご消息は聞いているが」と、法印は範宴の眉を見つめていった。
「お恥かしい次第です」範宴はさし俯つ向いて、
「磯長の太子廟で、あなたに会った年は、私の十九の冬でした。以来十年、私はなにをしてきたか。