轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんらん

親鸞

吉川 英治

「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页

青空文庫

七

頭がそれでいっぱいになっていた。

――彼方から師の善信はこっちへ歩んでくるのだった。いつになく恐い顔を持って。

「…………」覚明は樹蔭に息をころしていたが、師のすがたが、立ちどまって、怒っている濃い眉毛に、一抹の憂いをたたえ、その眼を、あなたこなたへやりながら、いかにも心配らしく、自分の姿を探しているらしい様子なのをながめると、堪らなくなって、

「師の御房……不埒者の覚明はここにおりました」走り出て、その前へ、ぺたっと両手をつかえた。善信は、眼を落して、

「むむ……」なんともいいようのない感情をその顔に燃やした。

憎んでいいのか、いたわっていいのか、善信は自分もまた余りにこの覚明と近い感情の持主であるがゆえになんともいう言葉がなかった。

――だが、自分たち師弟は、一に仏の僕であって、どういう場合の裁きも、小さな我見であってはならない、御仏の旨をもって、自分も裁き、人も裁くのでなければならない。

閉じていた善信の眸は、やがて、静かにみひらいた。

「覚明……。お身は二十年の精進と徳行とを一瞬に無に帰してしまわれたの。千日刈った萱を、一時の憤懣に焼いてしまわれた――」