轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
七
「叡山の座主様から」
「ほ。……弟から?」といって、にわかに、なつかしそうに、
「通せ」
「いえ、もうそれに控えておりますので」見るとなるほど――縁の西側に、一人の坊官が庭上に屈まっていて、声のかかるのを待っている態である。
「お汝か、慈円からの使いは」
「はい。……畏れ多いことにござりますが、この文状ばかりは、直に、お渡しせいと、申しつかって参りましたので」
「大儀じゃった」梅の枝を、その寺侍の手から取って、
「やすんで行け」と、ねぎらった。
月輪殿は、その後で、召使たちをも退けて、ただ一人になってから心静かに文状を解いた、そして読みゆくうちに顔いろに沈痛な影がうごいてきた。明らかに当惑な――そして最大な苦悩を心のうちで揺りうごかされている眉だった。
「弟も、弟ではある」その文状には、こういう意味のことが書いてあった――。今ここに一人の青年が死か生かの岐路に立っている。見ごろしになし得ない仏者である自分にも、この青年をすくうて取らす力がない。青年とはいうまでもなく自分が九歳の時から手しおにかけて愛育した綽空であるが、なんとか、ご分別はないか――よいご思案はないか――。