轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
六
「? ……」ハッと身を竦ませた。
「気どられたかな?」彼は、いつもの不敵なたましいを失って、疑心暗鬼の眼を、床下から上げた。
すると――案のじょうである。廊下のうえをギシギシと誰か踏む音がした。そして、戸の開く音がしたと思うと、
「たわけ者っ」外へ向って一喝した者がある。錆のある太い坂東声だ。
四郎は、ぎょっとして、息を嚥んだ。僧房とはいえ、吉水の門下には、熊谷蓮生房とよぶ関東武者の果てや、その他、源平の役で働いた名だたる侍の末が幾人も剃髪しているとはかねて聞き及ぶ所である。
(――そんな奴に捕っては)首をすくめて、
(駄目だ)ついに、気を挫いてしまった。
それから二日ほど経った白昼である。冬も、昼中は暖かかった。上人はまた、病中の由で、きょうはお顔が拝まれまいと噂していたが、吉水の法筵に、老幼にもわかるようなやさしい法話の会があると聞いて、ぞろぞろと、在家の人々が集まった。
つい四、五年前までは、そういう法話を催しても、百人か二百人がせいぜいしか寄らなかったが、近ごろでは、吉水に幾日の日にと、分りさえすれば、洛外の遠い土地から、百姓たちまでが、話を聞きに来るので、講堂や僧房の全部をあげて、その日は、民衆たちへ開放することになっていた。