轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
六
「仲を直してはどうじゃ」
「私は、可愛いくって、しかたがないくらいなんだが、ご覧のとおりな……」女は、眸から針を放って、
「嘘をおつきッ」
六
女がさらに血相を持ち直して、甲だかく猛りかけると、その時、門の戸を開けて、
「娘、われはまた、ここへ来ていくさるのか」誰やら、老人らしい声がした。
その声を聞くと、萱乃は、びくりとして、
「あっ、お父さん」水を浴びたように、今までの狂態を醒まし、にわかに、穴へでも入りたいように、居竦んでしまう。
烏帽子師の国助も、面目なげにうろうろとしていた。するともう案内もなく上がって来た萱乃の父なる人は、厳つい顔を硬ばらしてそこに突っ立ちながら、若い男女を見下ろして、さも忌々しげに、
「恥さらしめっ」と、唾でも吐きかけたいように睨めつけた。
宇治の郷士でもあろうか、粗末な野太刀を佩いた老人だった。
「さ、家へこい、家へ帰れ。こんな怠け者の職人と、痴話狂いをさせようとて、親は、子を育てはせぬぞ。不届き者め」
萱乃の襟がみをつかんで、叱りながら、引っ立てると、
「嫌です、嫌です」娘は、筵へしがみ伏して、
「――家へは帰りません」と必死でいった。