轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
六
覚明も、元よりどこへ泊るというあてもないのであって、すすめられたことは、幸いであったらしい、
「それでは」と、草鞋の緒を解き、範宴へも断って、奥へ通った。
師弟はまだ食事をすましていないし、覚明も空腹らしかった。性善坊は炉のある大きな部屋に薪をかかえて行って、
「お客人には、失礼じゃが、かえってここが親しかろう、どうぞ炉べりへ」と席をすすめた。
範宴もやがてそこへ来て、師弟も客も一つ座になって粥をすすりあった。
覚明はうち解けたもてなしにすっかり欣んで、
「家の中に眠るのは久しぶりでおざる。ゆうべは、塔の縁に、一昨日はふもとの辻堂に、毎夜、冷たい床にばかり眠っていたが、おかげで、今夜は人心地がついた」といった。範宴は苦笑して、
「あなたも何か迷うているお人と見える。私も、時々この山から迷いだすのです」
「いや」と、覚明は武骨に手を振って――
「御房の迷いと、拙者の迷いとは、だいぶ隔りがある。――われらごとき武辺者は、まだまだ迷いなどというのも烏滸がましい。ただ余りに血に飽いて荒んだ心のやすみ場を探しているに過ぎないので」
「武辺者と仰せられたが、そもあなたのご本名は何といわるるか、おさしつかえなくばお聞かせください」