轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
三
そこに二人の女性が自分を待っていることすら眼に映らなかった。すたすたと前を通りかけたのである。姫は、その姿を見るとはっと胸を打たれてしまった。胸につまるいっぱいの涙と羞恥ましさに樹蔭へかくれてしまうのである。侍女はそれを歯がゆがるように、自分だけ走り出して、
「範宴さま」と、彼の前に立った。
「あっ……」杖をすくめて立ちどまった網代の笠は、微かに打ちふるえた。
三
「あなたは万野どのですな」しばらくしてから範宴の低く洩らした声であった。
「びっくりなさいましたでしょう」
「驚きました……」ありのままに範宴はいった。樹蔭には姫のすがたまで見えるのである。どうして自分の登岳を知ったのであろうか。笠に潜めていた彼の面は、それをとれば狼狽にかき乱されていたに違いなかった。
「きのう、さるお人から、ふと大乗院へお籠りの由を、ちらとうかがいました」
「? ……」そういう人があるはずはない。自分の心の裡で独りで決めたことだ。それを打ち明けた性善坊にしても、つい昨日話したことである。月輪へまで、それが伝わるわけはなかった。
「ご不審でございましょう。実はそれを、教えてくれたのは、いつかの琵琶法師でございます。