轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「あっしも、きょうは、御本堂へ坐って、ありがたい入仏供養のありさまを、拝ませていただこうと思うんで」
「ふウむ、おめえ急に、信心家になったんだな」
平次郎は、そんな軽いことばにも、すぐ顔色をうごかした。
三
平次郎は空虚だった、人浪と念仏の声にただふらふらと押されているに過ぎない。心のどこかでは絶えず自分の犯した大罪の発覚をおそれ、あらゆる人間に向って鋭い警戒と神経が休まらなかった。
「ホウ、御本堂じゃ」
「なんとお見事な」
「あれに、御勅額も」群衆の顔がみな上を仰いで、眼をみはりながらつぶやいているので、平次郎も初めて、本堂の正面に来て立っている自分に気づいた。
十二間四面の新しい木の香にかがやいている伽藍には、紫の幕が張りまわされ、開かれた内陣の御扉には、おびただしい灯りが耀いて見える。
下野の城主大内国時の一族をはじめ、久下田太郎秀国、真壁の郡司や相馬の城主高貞など――そういった歴々の帰依者も、きょうはすでに家臣をひきいて、本堂の左右にいながれ、伽藍成就のよろこびを囁き合っていた。
平次郎は、遠くからその光景を仰ぎ見たが、太刀を帯びている国主や武士は皆、やがて自分を縛る鬼のように見えて、じっとしていられなかった。