轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
すると、日除笠で顔を縛った旅人は、ついと、彼のそばへ寄ってきて、文覚の肩をたたいた。文覚は、じろりと眼を向けて、
「おう。堀井弥太か」初めて、驚いたらしい顔をして手をのばした。
弥太と呼ばれた旅の男は、なつかしげに、握り合った手を、なぜか急に離して、
(しっ……)と、眼じらせをしながら、路傍へわかれた。
さっきの赤直垂の小僧が、ちんと、手洟をかみながら、二人のあいだを、威張って通って行った。そして、小馬鹿にしたような眼を振向けて、ヘヘラ笑いを投げた。
旅商人は、その眼へ、わざと見せるように、ふところ紙を出して、銭をつつんでいた。そして、文覚の手へ、
「御寄進――」といって、渡した。
「や」文覚は、真面目に受けとって、押しいただいた。
「一紙半銭のご奉加も、今の文覚には、かたじけない。路傍にさけんでも、人は、耳をかさず、院の御所へ、合力をとて願いに参れば、犬でも、来たかのように、つまみ出される……」
旅商人の堀井弥太は、先へ、足を早めながら、
「磧へ」と、顎をしゃくって、見せた。
頷きながら、文覚は、てくてくと後からついてゆく。牛の糞と、白い土が、ぽくぽくと乾いて、足の裏を焦くような、京の大路であった。