轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
七
「やっ、和子様ではないか。――そうだ、和子様にちがいない。おのれ、成田の郎党めが」
夜叉のように、介は、堤を目がけて飛んで行ったが、枯れ芦の沼がいちめんに、そこを隔てているので、遠く迂回らなければ、堤にはのぼれなかった。
気が急くし、足は自由にならない。沼水はかなり深かった。介は膝まで濡れた足をもどして、半町ほど後ろから、堤へ這い上がった。
もう、さっき見た人影は、遠く去って、わからなかった。介は、地だんだを踏んで、
「畜生」と、さけんだ。
そして、堤の上を、鬼のように髪を後ろへなびかせて走った。烏帽子は背へ落ちて、躍っていた。
七
「また、空が赤い」
「どこぞのお館へ、盗賊が押しこんだのではないか」往来へ出て、町の者は、首を空に上げて見ていた。
戦いに次ぐ恐怖は、強盗だった。
こそこそと出没するのではない。十人、二十人、多い時には五十人も手下をつれて、どこへでも堂々と押しこむのであった。少し、きかない家来などがいると、忠義だてして闘うので、邸宅はたちまち火を放けられて焼かれてしまう。
「貧乏人には、盗賊の心配だけはない」町の人々は、赤い空をながめて、せめての慰さめのように、つぶやき合った。