轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
その往来を、向う見ずに、駈けて行った男がある。介であった。
「待てっ」と、京極の辻でさけんだ。
先へ走ってゆく影も、これまた、おそろしく迅っこい。ちらと、近くで見たところでは、それは、河原や枯れ野などによく寝ている物乞いか、菰僧の類であるらしかった。
初めは、てっきり、成田の郎党と見て追いかけてきた介は、いよいよ、狼狽した。
十八公麿さまを誘拐かして、遠国へでも売ろうとする野盗か人買いにちがいあるまい、と今度は考えた。
「待てツ、待てッ」叫べば、叫ぶほど、先の男は、背中に十八公麿を負っているにかかわらず魔のように迅くなる。
そして、どう抜けてきたか、六条のお牛場へと駈けこんだ。
「おおここだ」男は、築地を見上げて、佇んだ。そして裏門をどんどんと叩く。
誰か、開けた。開けると同時に、男は、背に負ってきた十八公麿を、抛りこむように、門の中へ渡して、さっさと、元の道へ、引っ回した。
「この乞食めっ、和子さまを、どこへやった」いきなり組みついてきたのは介である。
「あっ」よろめいたが、男は、何もいわなかった。身をねじって、介の体を、勢よく振りとばした。
介は、男の足をつかんだ。