轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
かたんと、音がしたようであったが、返辞がないので、
「栗鼠か」と、つぶやいた。よく、板の間を、栗鼠が後足で踊ってあるく。
時には、巨きな禽が来たり、床下から、山猫が、琥珀色の眼で、人の顔を、のぞきあげたりする。
食物が、失くなることは、たびたびであるし、狐の尾に、衣の裾を払われることは、夕方など、めずらしくない。
(怖い)山に馴れないうちは、範宴は、恐ろしくて幾たびも、都の灯が恋しかった。座主から、
(そんなことでは)
と、笑われても、本能的に、恐かった。座主はまた、
(世に、恐いものがあるとすれば、それは人間だ。人間に、恐いものがあるとすれば、それは自分だ。――自分の中に棲む狐や、鷲や、栗鼠は、ほんとに恐い)と、いわれた。範宴にも、すこし、その意味がわかる気がした。
稚い者に話す時には、稚い者にもわかるように、よく噛んで話してくれるのが、慈円座主の偉さであった。都という話が出た時に、
(範宴――、よう見えるか)と、ある時、比叡の峰から、京都の町を指さしていう。範宴が、うなずいて、
(見えまする)と答えると、
(何が)と、訊ねた。
(町が、加茂川が、御所が。――それから、いろんなものが)