轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
(やはり法門こそ自分たちの安住の地だ)という心地がした。
かたく閉じられてある門の外に立って、性善坊は、
「おたのみ申す」と、ほとほと叩いた。
範宴は、うしろに立って、錆びた山門の屋根だの、楼の様だの、そこから枝をのばしている松の木ぶりだのを眺めて、
「十年……」なつかしげに眼を閉じて、十年前の、自分の幼い姿を瞼に描いていた。ぎいと、小門が開いて、
「どなたじゃの」番僧の声がした。
「無動寺の範宴にござりますが、このたび、奈良の法隆寺へ遊学のため、下山いたしましたので、僧正の君に、よそながらお目にかかって参りとう存じて、夜中ですが、立ち寄りました。お取次ぎをねがわしゅう存じまする」
「お待ちください」しばらくすると、番僧がふたたび顔をだして、
「どうぞ」と、先に立って案内した。
慈円僧正は、その後、座主の任を辞して、叡山からまたもとの青蓮院へもどって、いたって心やすい私生活のうちに、茶だの和歌だのに毎日を楽しんでくらしているのだった。
清楚な小屋に、二人を迎えて、慈円は、心からよろこんだ。
「大きゅうなったのう」まず、そういうのだった。得度をうけた時の小さい稚子僧の時のすがたと、十九歳の今の範宴とを思い比べれば、まったく、そういう声が出るのだった。