轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
九
その、無窮にして無限の時の流れから見ると、人の一生などは、電光のような瞬間です。その瞬間に、こうして、同じ時代に生れ合ったというだけでも、実に奇しき縁と申さねばならぬ。いわんや、同じ国土に生れ、同じ日のもとに、知る辺となり、友となり、親となり、子となり、また、夫婦となるということは、よくよくふかい宿命です。……だのに、そのまたと、去っては会い難い機縁の者同士が、憎みあい、呪いあい、罵りあうなどということは、あまりにも、口惜しいことではないか。――見るがよい、こう話している間も、水は無窮に流れて、流れた水は、ふたたびこの宇治の山河に、会いはしない……」
九
「わかりました」若い夫婦は、しみじみと、範宴のことばを心に沁み入れてうなずいた。
渡船が出る。範宴は、性善坊と一緒に、舷へ立った。
狭霧が霽れてきた。箭四老人は、幾たびも、
「和子様――おからだをお大切に――ご修行を遊ばしませ」彼にはまだ、範宴が、昔の十八公麿のように稚く見えてならなかった。今も、和子様と、呼ぶのであった。
「爺も、無事に」と、範宴が答えると、
「おさらばでございます」萱乃と国助が、うるんだ眼をして、じっと見送る。