轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
三
この朱王房の顔を忘れたか。俺は、叡山の土牢から逃亡した成田兵衛の子――寿童丸が成れの果て――今では修験者の播磨房弁海」
「あっ? ――」思わず跳びさがって、
「寿童めかッ」と性善坊は見直した。
山伏の弁海は、赤い口をあけて、げたげた笑った。
「奇遇、奇遇。……だが、ここに範宴のいないのは残念だ。範宴はどこにいるか」
三
弁海と名は変っても、腕白者はやはり腕白者、寿童丸といったころの面影が、今でも、彼の姿のどこかにはある。
「おい、範宴は、どこにいる? ……」と、重ねて訊く。
性善坊は、この男の眼に合うと何かしら、むかむかとしてならなかった。呪詛の火みたいに粘りこい眼である、また、いつでも、人を挑むような眼であった。
それに釣り込まれて、くわっと激したがる自分の血を、性善坊はおそれるのであった。
「存じませぬ」穏やかに顔を振ると、弁海は、ずかと一歩前へ迫ってきて、
「知らぬはずはあるまい。汝の師ではないか」
「でも、今日は、わたくし一人ですから」
「嘘をつけ。たった今、連れがあるので先を急いでゆくところだとその口でいったじゃないか。範宴は、俺の生涯の敵だ、久しぶりで、会ってやろう。