轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
五
皆さまへ、よろしくといい残して――」
「や。もうお立ちになったのか。……今日は、改めてお礼を申しあげようと思うていたのに……。済まぬことであった」
範宴は、胸に借物でも残されたように、自分の怠りが悔いられた。
五
若い男女は、先にあゆみ、範宴と性善坊とは、ずっと離れてあるいた。
冬の日ではあるが、陽がぽかぽかと枯れ草に蒸れて、山蔭は、暖かだった。
「――幸福にさせたい」範宴は、先にゆく、弟と弟の愛人のうしろ姿を見て、心から、いっぱいに思った。
「のう、性善坊」
「はい」
「粟田口の養父上にお会いしたらそちも共に、おすがり申してくれ」
「はい」
「万一、どうしても、お聞き入れがなかったら青蓮院の師の君におすがりしてもと、わしは思う……。あの幸福そうなすがたを見い、あの二人は、世間も何もわすれている、ただ青春をたのしんでいる姿じゃ」
黄昏れになった。
女連れでもあるし、夜になるとめっきり寒いので、泊りを求めたが、狛田の部落を先刻すぎたので富野の荘までたどらなければ、家らしいものはない。
だが、そこも今のぼっている丘を一つ越えれば、もう西の麓には、木賃もあろうし、農家もあろうと思われる。