轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
けれど、範宴のこころに、その数行の文字は、決して偶然なものには思えなかった。七日七夜、彼が死に身になって向っていた聖徳太子の御声でなくてなんであろう。自己の必死な思念に答えてくれた霊示にちがいないと思った。闇夜に一つの光を見たように、範宴は、文字へ眸を焦きつけた。わけても、
汝の命根まさに十余歳なるべし
とは明らかに自分のことではないか。指をくれば、かぞえ年二十一歳の自分にちょうどその辞句は当てはまる。しかも、
命終りて――
とは何の霊示ぞ。迷愚の十余歳は、こよいかぎり死んだ身ぞという太子のおことばか。
「――日域は大乗相応の地たり……日域は大乗相応の地たり。ああ、この日の本に、われを生ましめたもうという御使命の声が胸にこたえる。そうだ……自分はゆうべ、法印へ向って、死の気もちがあることまで打ち明けた。太子は、死せよと仰っしゃるのだ。そして迷愚の殻を脱いだ誕生身に立ち回って、わが教令を、この日の本に布けよと自分へ仰っしゃるのだ」
もう、戸外には、小禽がチチと啼いていた。紙燭の蝋がとぼりきれると共に、朝は白々とあけて、御葉山の丘の針葉樹に、若い太陽の光がチカチカと耀いていた。