轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
三
何か、低声で囁きあっていた朝臣たちは、やがて思いきったように、「ちょっと、僧正のお耳へ入れておきたいことがありますが」と、いいにくそうにいいだした。
三
「ほ? ……何でおざろう」
「実は、この正月にも、あちこちで、僧正のおん身に対して、忌わしい沙汰する者があるのでして」
「世間じゃもの、誰のことでも、毀誉褒貶はありがちじゃ」
「しかし、捨てておいては、意外なご災難にならぬとも限りませぬ。僧正には、まだ何もお聞きなさいませぬか」
「知らぬ」と、慈円はこともなげにかぶりを振った。範宴は、側から膝をすすめて、
「お客人」と、呼びかけた。
「師の君のご災難とは心がかり、して、それの取沙汰とは何を問題にして」
「やはり、和歌のことからです。――この正月、御所の歌会始めに主上から恋という御題が仰せ出されたのです。その時、僧正の詠進されたお歌は、こういうのでありました」と客の朝臣は、低い声に朗詠のふしをつけて、
わが恋は
松をしぐれの
そめかねて
真葛ヶ原に
風さわぐなり
「なるほど……。そして」
「人というものは意外なところへ理窟をつけるもので、僧正のこの歌が、やがて、大宮人や、僧門の人々に、喧ましい問題をまき起す種になろうとは、われらも、その時は、少しも思いませんでした」