轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
きらら月夜
一
自分の身にも、いつのまにか、金襴のけさや、少僧都の位階や、門跡という栄職までついているではないか。
そして、今となっては、捨てるに捨てられない――
自己を偽れない範宴の気もちは、すぐにも、金襴や位階をかなぐりすてて、元の苦行の床へ返りたくなった。
「やがてまた、この身も、僧都となり、僧正となり、座主となり、そして小人の嫉視と、貴顕の政争にわずらわされ、あたら、ふたたび生れ難き生涯を、虚偽の金襴にかざられて終らねばならぬのだろうか」頬に手をあてて、湖のごとく静かに、しかし悶々と、心には烈しい懐疑の波をうって考えこんでいる範宴少僧都をのせて、牛車の牛は、使いの首尾を晴れがましく、青蓮院の門前へ返った。
きらら月夜
一
「火事じゃないか」廊下に立って、覚明は、手をかざしている。
空は、ぼやっと白かった。夜霞のふかいせいか、月の明りはさしていながら、月のすがたは見えないのだった。
「そうよな……」性善坊も、眉をよせて、
「五条あたりか」
「いや、川向うであろう」
「すると、師の房の参られたお館に近くはないか」
「離れてはいようが、心もとない。上洛中の鎌倉の大名衆や執権の家人たちが、一堂に集まって、夕刻から、師の房に、法話をうかがいたいというので参られたのだが……」