轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
範宴は、一日来ると、必ず一つ感銘を抱いて帰った。世間そのものの浄土を見て帰った。
「もし! ……」ぞろぞろと禅門から人々の帰って行く折であった。老婆と幼子とを門前にのこして、範宴の後をついてきた商人の妻らしい女が、
「もしや、範宴さまではございませんか」と後ろから呼んだ。
「どなたです」
「お見わすれでしょう」と女はわらう。範宴は、女の笑顔に、
「おお、梢どのか」と驚いていった。
弟の尋有の今の姿が、すぐ梢の変りきった眼の前の姿と心のうちで比べられた。二人の恋ももう遠い過去のものであった。天城四郎にかどわかされて後のこの女の運命を思わないこともなかったが、こんなに幸福な陽の下で見られようとは想像もしていなかったことである。
「あのせつは、ご心配をおかけいたしましたが、今では、小やかですが、穀商人の内儀になり、子どもまでもうけて、親どもと一緒に暮らしております。よそながら、お噂もうかがって、いつも蔭ながらご無事をおいのりしておりましたが、ここでお目にかかれましたのも、ありがたいお上人様のおひきあわせでございましょう」と、ことばの下から念仏をとなえて、吉水の門を拝むのだった。