轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
四
そして呻くように、
「そうか。したが綽空がそんな所にただ一人で草庵をむすんでいるのはすこしおかしいぞ。聖光院の門跡の地位を捨て、吉水院の房にかくれ、またそこから一人で通うなどとは何か曰くがありそうじゃないか」
「ひとつ探ってみましょうか」賢しく蜘蛛太がいうと、
「そうだ、俺が出かける前に、彼奴の痛いところをつかんでおけば、なおさら都合がいい」
「じゃあ二、三日待っておくんなさい。きっと何か突きとめてくる」酒は乏しくなりかけたが、焚火の焔はいよいよさかんであるし、明日の的てもついたという理なので天城四郎初め元気づいて、なお蛮歌と乱舞をそれからも夜の四更にかけて続けていたが、やがて見張役の下っ端が、遠くから、
「警吏が来たっ」と、呶鳴ると、
「なに、警吏だと?」狩矢が、途端に二、三本、ひゅっと彼の耳のそばを唸って通った。
ばたばたと起って、いっせいに焚火の火を踏みにじるが早いか、暗澹たる煙の低く立ち迷う中を、見るまに、それだけの人数が一人も余さずどこかへ逃げ散ってしまった。その敏速なことといっては、到底、警吏などの及ぶところではない。
だが、警吏と見たのは、まったく手下の錯覚で、事実は、如意ヶ岳の尾根を通って、これから朝陽のでるころまでに峰へかかろうと隊伍を組んでゆく十人ほどの狩猟夫の連中だった。