轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
四
三十一歳までの清浄身を、擲って、現在の僧侶にいわせれば、汚濁の海、罪業の谷ともいうであろう、蓄妻肉の徒になろうという意志を固めているのだ。所詮、叡山は二度と自分を容れまい――容れる雅量があるまい――今日が別れである。あしたは、綽空一箇を法敵としてこの山は鳴り怒るであろう。彼はそう思いながら、飯室谷を去った。
だが――彼の信念がそうしていかに強く固まってさても、玉日姫を力で奪ってくるわけにはいかなかった。また、彼の夢みている大誓願も、彼女以外の女性では絶対にならないのである。綽空はまた、以前とはちがう苦悶に堕ちた。
(どうしたら彼女を獲られるか)それを考えることは、真理の影を追うよりも困難に思われた。誰よりも、人間として自分を知っていてくれる師の慈円ですら、黙して答えなかった。
「いっそ月輪殿へ、自分で――」と考えつめることすらある。しかし、それがいかに狂人に似た振舞であるかをも同時に思わずにはいられない。
今、玉日姫は、世間のうわさがうるさいために、西洞院の別荘のほうへひそかに身をかくしているといううわさである。例の天城四郎が館を脅やかしてから侍女の万野もその後はふッつりと岡崎へすがたを見せない。