轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんらん

親鸞

吉川 英治

「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页

青空文庫

五

「……眠れたか」父の君は、それだけのことでもほっとしたように眉をひらく。

「食べ物は……」

「お食は、どうもまだ」

「すすまぬか」と、顔が曇る。

――やがて姫の病間に入ってゆくと、そこもまた、春の訪れをかたく拒んで、昼も蔀をおろし、鏡は袋に、臙脂皿や櫛は筥のうちにふかく潜められたまま、几帳の蔭に、春はこれからのうら若い佳人が、黒髪のなかに珠の容貌を埋めて、もう幾月かを病に臥しているのだった。

「どうじゃな」父の禅閤は、そういって、姫のそばに坐る。

姫は、眸で、

(え、え……)うなずいてみせるが、何ということばもなく、そのまま、眼をとじて、黙ってしまう。

閉じている姫の瞼が、すぐ泪をつつんでしまうことが父にはわかる。不愍――とすぐ思うのでもあったし、また、

(困ったものだ)という嘆息もつい出てくる。

いったい禅閤の君は、まだ法体にならぬまえは――月輪関白兼実として朝廟の政治に明け暮れしていたころは、非常に気も昂く強く、七人もいる息女たちのことにでも屈託などしたことのない性格であったが、いつの年であったか、最愛の長男が不慮の死をとげたり、また、政敵のために廟堂から職をひく身になったり、いろいろ晩年の境遇が変ってくるにつれ、その人生観にも大きな変化がきて、禅閤という一法体になってからは、すっかり性格までが柔かになって、子