轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
上人もまた、耳に入ったらしいが、それについて一言もいわなかった、月輪殿も、じっとしておられた。
「どうしたらよいだろう? ……一人や二人で行ったところで、どうもならぬし」
二、三の者が門前でこうつぶやきながら、はらはらと眺めている間に、やがて泥土の戦場を駈け抜けてきたような糸毛輦と、摩利支天のように硬ばった顔をした二人の勇者とが、その轅について、ぐわらぐわらとこなたへ曳いてくるのが見えた。
「おお!」
「無事に、見えられた」思わず、門前に立っていた者は手を挙げた。
綽空は、すぐ道場へ入った。玉日も、その後に添って、良人と共に、そのまま講堂の中へ坐った。
朽葉色の法衣や、黒い法衣ばかりの中に、たった一人、彼女の装粧だけが眼ざめるほど鮮麗だった。
学生たちの眼が、どうしてもそれへ動かされずにいなかった。講義をしながら上人はそれを感じたであろう、粛然としていた中に、何となく、無言の動揺がながれ始めたのを。
しかし――。綽空と玉日のふたりだけは、いかにも、安心そのものの象であった、幸福そのものの相だった。他へ、何ら気の散ることなく、上人の講義の終るまで、心静かに、聴いていた。