轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
そして、ふたたび草鞋の緒を結ぶと、足を、河内路へ向けて、二月末の木の芽時を楽しむように、飄々と、袂を東風にふかせてゆく。
「奴。……まだ気がつかぬ容子らしい」大きな黒犬が、彼の後からついて行った。その犬を連れているのは、いうまでもなく、播磨房弁円。
兜巾をあてた眉間には、去年の秋以来、狙けまわしている必殺の気がみなぎっている。綽空の後を尾けてくる前に、京の刀師に、その腰におびている戒刀も充分に研がせてきたくらいだった。
だが――京から難波津――四天王寺から河内路と、こう、往来の多い場所では、とかく、寄りつく機会が見出せなかった。やや淋しい並木などで、今だと、心を奮い起そうとした折もないではないが、なぜか、そんな時に限って、妙に気が怯む。――隙がないというか、あまりに、綽空の身が放胆に投げだされてあるのでかえって手が出難いのか、いつも、機を逸してしまう。
怖ろしい黒犬が、絶えず後になり先になりしているのを、綽空は、知っているのか否か、やがて、磯長の叡福寺へ彼の姿はかくれた。聖徳太子の御霊廟のある御葉山の松の丘へ――その松風の中へ。
わんッ! 黒が、山門の前で、急に吠えだしたので、