轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
いつのまにか、そこは、黒、朽葉、鼠色の人影で埋まってしまう。三塔の大衆三千がこうして集まると、元は、院の御政治すらうごかしたものである、武力のあった平氏も源氏も、叡山だけは意のままにならなかった。――時勢は刻々と移ってはいるが、しかしまだ、彼らには、そうした自尊心は衰えていない、座主も、この大衆の支持がなくては、その地位を保つことができないのは勿論であった。
「しイーっ」闇の中から、誰かが、やがてこういって、杖を宙へあげると、大衆は一斉に、皆、左の手で自分の両眼を塞いでいた。
次に、二度めの声がかかると、その手を払った。
見ると、大講堂の階段の上に――広縁の一端に、誰か、一人の法師がのぼっている。頭巾の上から、さらに口も鼻も縛っているので、常々、顔をあわせている者でも、まったく誰であるか見当はつかないのである。
「山門の僉議」の目的は、自分たちの包まない意見も感情もぶちまけて討議するところにあるので、口が禍いになって、後難を恐れていては行われない。
――で、こういう作法のもとに、討議が初まるのは、以前からの例であり、問題のなんであるにかかわらず一つの儀式になっていた。