轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「それみい。どうせ、行かねばならぬもの、なぜ早く、わしのいいつけに従わぬのだ」やっと、小暴君は、輦の中に納まって、けろりという。
「――はやく、奪ってこい」愚昧な若君だが、こんな懸け引きは上手である。七郎は、いくら主人の子でもと、ちょっと小憎く思ったが、泣く子と地頭だった。
「承知いたしました」気のすすまない足を急がせて、丘の下へ、戻ってきた。
(まだいるかどうか?)むしろ、立ち去っていることを祈りながら、七郎は梅花の樹蔭をのぞいた。見ると、自身で作った三体の土の御像をそこにすえたまま、あの髫がみの童子は、合掌したまま、さっきと寸分もたがわぬ姿をそこにじっとさせていた。
虻のかすかな羽うなりも鼓膜にひびくような春昼である。七郎は、跫音をぬすませて、童子のうしろへ近づいた。――近づくにつれて、その童子のくちびるから洩れる念仏の低唱が耳にはいった。怖ろしい強兵にでも迫ってゆく時のように、七郎は、脚のつがいが慄えてきた。どうにも、脚がある程度を越えられない気がした。いっそのことやめて引っ返そうかと惑った。
寿童の呼ぶ声が、おうウいと、彼方で聞えた。彼は、主人の邸へ帰った後の祟りを考えて眼をつぶった。