轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
二
その旅の衣をぬぎ、やがて善信はひさしぶりに自分の一室に落着いた。
「よう、お窶れもなく」玉日は、この良人を、どうして慰めようか、自分の女としての真心をあらわすのに苦しんだ。
「そうかの」善信は、自分の頬を手でそっと撫でて、和やかに笑った。
「もう、この頬には、どんな苦難が襲ってきても、病のほかは、窶れさすことはできなかろう。そういう自信が近ごろできてきた」
「うれしいことでございます」
「そなたは」
「さ……」玉日は自分の心に問うてみて、留守中の自分にそんな信念がなかったことに気がついた。この先もまだ、なかなか危ない気がするのである。
「わたくしは、痩せたでしょうか」
「そうのう」
「痩せたかもわかりません、ほんの少し……」善信は笑った。
さすがに、新妻のすがた――やわらかい姿態――女のにおいというようなものが、善信の旅にすがれた眸を、しみじみ、見入らせるのであった。
――この女なくば、自分は。と、ひそかに思う。
(どうなったか)と回顧するのである。
青年時代の何ものをも烈々と焼くか突き貫さずにはおかない情熱と、その時代を久しくつつんでいた真っ黒な懐疑と、当然、それから行きはぐれてしまう所だった青春と求道のわかれ道に――もしこの女が心になかったら――あるいはついに、