轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんらん

親鸞

吉川 英治

「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页

青空文庫

ちょっと出るにも、帰るにも、こんな憂いが離れない内裏の生活を思うと、彼女たちは、

(なぜ御所へなど上がったのか)と、悔いの嘆息が出るのだった。

町家にいたころは、御所の内裏といえば、どんなに典雅で平和で女性の幸福を集めているところかと、あこがれていたものである。――そして、そこの多くの女性のうちでも最も羨望される寵妃となって、上皇の愛を賜うほどな身になった今日になってみれば、昔の憧憬れは、まことに幼稚な少女の夢にすぎなかった。

なるほど、身にだけは、珠をかざり、綾を着て、和歌や絵にある生活のままな姿はしているが、上皇は、御政治のことさえ、今帝におまかせしきれないほど、御気質の烈しいお方であるので、後宮の彼女たちには、口にも出せない気苦労がある。

その上に、寵妃たちを取り巻く、典侍とか、女官たちのあいだには、閥の争いだの、意地わるい嫉視だのがあって、日蔭で冷ややかに歪くれた眼と眼が、絶えず、行儀作法の正しいなかで、根強い呪いと闘いを交わしているのが、ほとんど、明けても暮れてものことなのである。

「ああ……」松虫がこうつぶやくと、鈴虫も俯向いたまま、重い吐息をついて歩いた。