轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
三
「おや? ……」と、振向いて、彼はそれを見ていたのである。
人影は二人であった。被衣をふかくかぶっていた。
ちょうどその夜は二日月の研がれた影が薙刀のように大樹の梢に懸かっていた。青い月明りに、何か夢の中の人間みたいにその被衣は光っていた。
――ひらっと、蛾のように、御所の外へ二つの影が消えてから、衛府の男は、独り言につぶやいたのである。
「局の女房たちも、こんな晩は、男が恋しいとみえる。……だが、忍びでもすることか、御門を大びらに恋の通い路にされちゃあ困る。何ぼなんでも、俺たちがお役目として困るじゃないか」
それから、衛府の番小屋に入って、ほかの同役の者たちと笑いさざめいていると、大宿直の公卿から下役の吏員が駈けてきて、
「これ、衛府の者」と、外で喚く。
「はっ」小舎を開けると、吏員は、何か狼狽した顔つきで、息を昂めていうのだった。
「――今し方、誰か、御門の外へ出た者を見なかったか」
「さ? ……誰か、御門を通ったろうか。おれは知らぬが」一人がいうと、
「おれも知らん」
「わしも」恍ぼけた顔を見合せた。
「はてな、小門のほうは」
「小門は、宵のうちは開けておりますが」