轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
四郎は、そういう人々を見まわして、
「何がいったい面白くて? ――」と、不思議な顔をした。
そのうちに、彼は眠くなってしまった。南縁の猫のように、眼を細め、涎をながして、こくりこくり居眠り始めた。
七
時々、はっと、自分の居眠りに気づいて、四郎は赤い眼をあいた。そして、さすがに少し間のわるい顔をしながら、まわりの聴衆を見まわした。
だが、聴衆は、水を打ったように静かな空気を守りつづけ、眼も、耳も、全身をもって、法話の壇のほうへ向けていた。一人として、そこに居眠っている四郎の様子などに気を散らしている者はない。
「ホ? ……」仏教の話などには、何の感興も持たないはずの四郎が、その時、やや眸をあらためて、前の者の肩越しに、壇のほうへ、大きな眼をみはった。
「善信だ……」思わずつぶやいたので、そばの者が、ふと彼の顔を見た。
四郎は、下を向いた。てれ隠しに顔を撫でる。
――聞くともなく、善信の声が耳へ流れこんでくる。覚えのある声だ。
(しばらくぶりだな)と、思う。
壇の上に立って、岡崎の善信は今、低い音吐のうちに何か力強いものを打ちこめて、諄々と、人々と、人々のたましいへ自己のたましいから言葉を吐いているのだった。