轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
そう思ったが、考えてみると、自分もあまり人中で大びらに顔を晒すことのできる人間ではない。誰か、気がついて、
(天城四郎だ)
(大盗の四郎だ)
指さされたら、大変なことになる、さっそく、自分から先に逃げ出さなければならない。
「ちいッ……いつまで同じことをいってるんだ」彼は、うるさい意見でも聞くように、口のうちで舌打ちを鳴らし、「わ、わ、あ――」と、大きな欠伸をかみころした。
八
悪人――といったような声がふと耳に入った。四郎はぎょっとして首をもたげた。
(俺のことを何かいっているんじゃねえか?)猜疑の眼を光らして見まわすのであった。
善信の法話の言葉のうちにである。幾度も、悪人という語が用いられた。悪人という語が出るたびに、四郎はぎくりとして、
(俺へ面当てをいってやがる)と思った。
だが、周囲に充ちている聴衆は、相変らず熱心に、善信の法話に耳をすましているだけであって、四郎のほうを見る者などは一人もないのである。
しかし四郎は、多くの人々が、自分に無関心であるとないに拘わらず、悪人という言葉が癪にさわった。こんど何か自分の面当てがましいことをいったら、躍り立って、壇にいる善信の襟がみを引っ掴んでやろうと心に企んでいるらしく、じっと、聞き耳を欹てて、善信のことばを聞いていた。