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しんらん

親鸞

吉川 英治

「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页

青空文庫

「ああ。上人様」四郎は、合掌したまま、頭をすりつけてさけんだ。

「おゆるし下さいませ。何もかも、今までのことは。……善信様にも」こんな弱い男であったろうかと疑いたいほど、四郎は、変ってしまった。木賊四郎、天城四郎と、その悪名を洛内はおろか、近国に鳴らしていた男とは受けとれないほどな姿だった。

四郎は、過去のこと――犯した罪業――あらゆる事どもを喋舌ってしまいたかった。五臓の毒物を吐くように、彼は懺悔しては泣きぬれた。そしてこれからは、それを償うだけの善根をしなければならないと嘆いた。

また、彼は、禅房の床下へ忍んだり、法話を聴く信徒の中に交じってきたりした目的も、一切、上人と善信に告げた。そして、ここの教門を倒そうとする策謀が行われていることも注意したが、元より善信もそれは感知していることだし、上人はなおさら戸を打つ冬の風とも心にかけない風なのであった。

十一

(あいつ、どうしたのか?)播磨坊弁円は、こう舌打ちをならして、人通りもない辺りへ向って、人でもいるように罵った。

「いい加減な法螺をふきおって――。口ほどもない奴だ、もう今日で十日以上にもなるではないか。