轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
三
三
住蓮は、ことばを続けて、
「この峰づたいに――どこまでもどこまでも――人里を避けて、西のほうへお逃げなさい。他宗の者や、田舎の役人などに気をつけて」おののいて、足も地につかないでいる松虫と鈴虫とへ、
「こうしている間に、捕吏が登ってくると、もう最期になります。私たちが、付いて行ってあげたいが、私たちは、これからなお、吉水の上人に、事の由を申しあげて、この禍いが他へ及ぼさぬようにしなければなりません」
安楽房も、急き立てて、
「さ、早くなされい。……なあに人界は追われても、到る所に、仏界はあります、浄土はあります」
「では……」と、転ぶようにふたりは細い杣道を攀じてゆく。
「気をつけて――」
「はい」
「……気をつけておいでなされよ。……松虫どの、鈴虫どの」
「住蓮様――安楽房様」
「おさらば」法勝寺を焼いている炎は、遠い眼の下に見えるが、吠えくるう風の音と火のハゼる音がそこまで聞えてきた。
峰の背へ――ふたりの影を見送って、
「住蓮」安楽房は、友の肩をつかんで、嗚咽しながら、
「法勝寺が焼ける」
「ム……ム……自分で放けてきた火だ。焼けたほうが潔い」
「みんなおれたちの火悪戯だった。