轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんらん

親鸞

吉川 英治

「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页

青空文庫

六

河原づたいに、彼は、洛中へまぎれ込んだ。そして、様子を聞くと、市中は沸くような騒ぎなのだ。そして、口々に、

「御停止じゃ」

「念仏は、一言も」

「ああ、南無」

「それ、うかつに口へ出すと」

恟々と、人心はおののいている。彼らには、なぜ念仏を口にすれば国法にふれるのか、いってならないのか、分らなかった。――つい幾年前には、畏きあたりまで召されて、その講義を嘉し賜い、堂上や多くの尊敬すべき人たちまでが、かつてはこれこそ人生最高のかがやきと仰ぎ唱えた念仏を、それを、口にしても、国法の犯人になる。――どうしても解かれない疑いだった。

そうして、御所の陽明門のあたりを見ると、制札が、ここにも墨黒々と立っていて、傍らの武者溜りには、伊賀判官末貞とか、周防元国などという人々が、市中警備の奉行となって、夜もあかあかと松明や篝火に冬の月をいぶしているのだった。

ぽつ、ぽつ、と時折その前を通る人影は、槍の光を見て、遠く足を浮かして歩いて行ったり、また、高札の前に立って、

「えらいこっちゃなあ」と、嘆息と共に読んで去る者もあった。

――と、一人の男が、頭には法衣をかぶって、足には破れた草履を穿ち、じろりと、奉行の武者溜りを横目に見て通りかけたが、突然肩をゆすぶって笑いだした。