轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
五
一言でも、大事の秘密を聞かれた時は、秘密に与すか、秘密に殺されるかどっちか二つに一つを選ばなければならない――。範綱はそれに迫られて、自身の窮地を感じるとともに、上は、法皇の御危険なお立場と、小さくは、奥の北殿に、はや平和に眠ったであろう幼い二人の者と、薄命な弟の若後家の境遇を、考えずにはいられない。
「……ご返辞のこと、一両日、お待ちねがわれまいか」
「ご即答は、できぬとか」蔵人の手は、太刀をにぎっていた。ただの握りかたではない、微かなふるえすら現しているのである。
「法皇に仕え奉つる身、法皇のおこころのほども臣として――」いいかけると、
「あいや、六条どの、その儀ならばご懸念はいらぬ。秘中の秘、いいのこしたが、実は、当日の謀議には、上皇にも、おしのびにて院をお出ましある手筈……」その時、家の外で、樹の枝でも踏み折ったような音が、ばりっと寂な夜気をやぶって、この三人の耳を驚かした。
「やっ? ……」右衛門尉は、太刀のこじりを立てて、中腰になった。
五
一瞬のまをおいて、
(曲者っ――)と、ふたたび遠い所で誰やらの声がした。
ばたばたと屋外で――今度はやや間近な窓の下あたり、烈しい跫音が駈けた。