轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
おかしいね。香など焚いたことのない人が」
「行ったんじゃない」
「どこへ」
「死出の旅路へ」
「ホ、ホ、ホ」盗むように一人がわらって、
「――そうかも知れない。毎日、泣いてばかりいた様子だから」
「でも、身から出たさび――仕方がないもの」
「ものずきな――あんな侏儒の片輪者を、殿様の目をぬすんで、閨へ入れるなんて、気がしれない」
「あれ……ほんとのことなのかしら」
「だって、みながそういうもの、火のない所にけむりは立たないでしょう」
「けれど、誰が先に、そんな煙を立てたのか」
「どうだって、いいじゃありませんか。どうせあの人は、ふだんから、死にたいが口癖だったんだから、本望でしょうに」そういって、よそごとのように、戯れ口をきいていたが、それでもどこかに気がかりになるとみえ、
「ほんとに、帰ってこないらしい……」と少し不安な眼をしだした。
二
「もいちど、見に行ってみましょうか」と、一人がいう。女たちは、皆立った。そして、山吹の部屋をのぞいてみると、香のにおいがまだ残っていて、小机の下を見ると、何か、手紙らしいものがあった。頓狂に、一人が、
「あっ、遺書」と、さけんだ。
「え、遺書ですって」