轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
三
果たしてそれが、国家のため、民くさのためだったろうか。
主君はそう受け取ってくれたろうか。平家が亡んだ後の源家の政治は、果たして国民の幸福を増してきたろうか。三郎盛綱はもだえた。
(怖ろしい、浅ましい。人は知らず、自分の肚の奥底を割ってみれば、そこには華やかな武者の道があって、ひたぶるに、君家のおんためという気持もあったが、何よりも自分を猛く雄々しくさせたものは、領地や位階であった、出世の欲望だった)こう考えつくと、彼はたまらなくなった。そしてついに、
(せめて、老後の一日だけでも、阿鼻叫喚の中からのがれて、こころのどかに、人らしく生きてみたいものだが――)そう気づいてから先の三郎盛綱は、往年の烈しい気性を、急角度に向きかえて、ひたぶるにそれを望み出した。――実に、多年のあいだの宿望だった。
(領地が何か? 位階が何か。――あさましやおれはこれで釣られて、一生を屠殺で送ってきた)
館も財宝も、もう彼の眼には、芥としか見えなかった。――だがすでに、彼の身は由々しき所領の大名となっていた、一族門葉も少なくはない、鎌倉との交渉も、簡単には参らない。彼はそれを捨てることに、どんなに長い腐心を費やしたか知れない。