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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
はないか。――近くは兄の盛綱は何の科があってか、所領を没取されているではないか。――やがてはその手がわしへ来ることは見え透いておる。こうしているのは自滅を待っているにひとしい」
「さような事のある場合は、殿のおことばを待つまでもなく、われら臣下が、四ツ目の御旗を陣前に押し立て、北条、梶原の輩を一挙に懲らしめてくれますれば」
「それでは遅い、後手だわ」
「では、どう遊ばします」
「こなたから、不意に軍勢をのばすのじゃ、彼奴らの虚を突くのだ」
「かえってそれこそ、鎌倉方の策にのるものです、反逆の軍と呼ばれましょう」
「な、なに」と、四郎高綱は、面に朱をそそいでいった。
「盟約を正す軍を反逆というか!」
「たとえ、君命にござりましてもさような不利な軍は」
「よし、老臣どもの手はからぬ、陣ぶれの状を廻せ!」
「殿っ――」と玄蕃は涙をたたえて、
「泰平をよろこぶ民を憐れみ遊ばせ。――軍は私憤をもってするものではございませぬ。……ご賢慮を」と、袖にすがって諫言しているところへ、小侍が、一個の文筥を捧げてきて、
「御状でございます」と、そこへ差し置いた。ふと見ると――
北越小丸山配所中