轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
二
「なに、蔵人が」不審顔をして、平盛国は、奥から出てきた。蔵人は、彼を見るとすぐ、
「お人伝てには、ちと申し兼ねる大事です。相国へ直々に、お会わせ下さるならば申しのべるし、さもなくば、このまま立ち戻る所存でござる」と、昂奮した声でいった。
二
蔵人は、庭へまわされた。庭には、侍たちが、きびしい眼をして、彼の姿を、一歩一歩監視していた。
「坐れっ!」大喝されて、蔵人は、
「はっ」思わず、敷物も求めずに、大地へひざまずいてしまった。
ふと見ると、相国清盛は、中門の廊まで出て、立っていたのである。五尺二、三寸の中背な人物で、体も肥満質なほうではない、むしろ肩が尖っているし、頬骨は高く痩せているといったが近いであろう。それでいて、廊の天井へいっぱいになるほど、偉きく見えるのであった。左右の足もとに、ずらりと並んだ近侍たちの頭が低いためもあるし、また、彼の一身にかがやいている勢威というものが、そう見せるのでもあろう。
色は白く鼻ばしらが鋭いほど通っている。平家一門の多くの者がそうであるように、彼もどこか貴族的な美男型の容貌をそなえているが、きかない気性は大きな唇元にあらわれているし、武士らしい睨みは、やや窪んでいる眼と、毛のこわい眉毛にあり余っていた。