轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「あ――」吉次も、その前に、足をとめていたのだった。
二人とも、呼吸をのんだ。そこの大銀杏から小半町先の一廓いに、館構えが見え、古びた殿作りの屋根が、墨で刷いたように、赤松の梢と、築地の蔭に、沈んでいる。それはいい。
それはさっき河童がいった有範朝臣の館にちがいないのである。しかし、二人は、そのほかに、異なものを見たのであった。
異なものというのは、そこを曲がった途端に、眼を射た光である。およそ、夜といえば、光に乏しい世界に住んでいる人間にとって、光ほど、尊く、有難く、また、妖しく考えられるものはなかった。
その光だった。白い虹といおうか、彗星の尾のような光が、有範朝臣の屋の棟とおぼしい辺りから燿々と映して、二人が、(あっ?)といった間に、眼を拭ってみれば、何事にも思えない元の闇なのであった。
「見たか、お前も」
「見た」と、答えて、河童は急に、
「小父さん、おら、ここで帰るよ」尻ごみをした。
「ご苦労だった」吉次は、銭を与えて、
「――今の光ものを、お前は何だと思う?」
「わかんない」
「俺にもわからぬ。ふしぎなこともあるものだ」
「皆んなに、話してやろう」
「こらこら、うかつなことを、言い触らしてはいけないぞ」