轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
このつい近くであったはずの六条の範綱の館はどこだろう。跡かたもない幼少のころの家をさがし廻って、範宴は、ここでもまた、憮然とした。
「きれいなお坊んさんと、お供の方――」黄いろい女たちの声が、家々の窓や垂れ布の蔭から、しきりと、呼びぬくのであったが、自分が呼ばれているのであるとは二人とも気がつかない。
で、なお、狭い露地へまで入って行こうとすると、低い檜垣の蔭から、
「いらっしゃいよ」と、白い手が法衣の袂をつかんだ。範宴は、眼をまろくして、
「なにか御用ですか」女は、白い首を二つそこから出して、
「あなた方は、何を探しているんです」
「六条の三位範綱さまのお館を」
「ホ、ホ、ホ。……そんな家は、もう一軒もありませんよ。ここは、遊女町ですからね」
「え。……遊女町」
「往来から見れば分りきっているじゃありませんか。お入りなさいよ」性善坊が横から、
「馬鹿っ」と叱って、範宴の袂をつかんでいる女の手を、ぴしりと打った。
四
「よくも人を打ったね」遊女は、怒った。
性善坊も怒っていった。
「あたりまえだ」
遊女はまけずに、
「人を打つのが当りまえなら私も打ってやる」と手を出して、性善坊の横顔を打つ真似したが、性善坊は顔を避けて、