轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「あ……これは」と範宴は、あわてて頭を下げて謝った。蒲団のうえに坐りこんで、こっちを見つめているのは、似ても似つかない男なのである。
年ごろ二十四、五歳の、色浅ぐろい苦み走った人物であった。鷹のように精悍な眼をして、起きるとたんに右の手には、枕元にあった革巻の野太刀を膝へよせていた。野武士の着るような獣皮の袖無しを着、飲みからしの酒壺が、隅の方に押しやってある。
「失礼いたしました。人違いをして、お寝みのところを」と詫び入ると、男は、
「なんだ、坊主か」と、口のうちでつぶやいて――
「誰をたずねてきたのだ」
「身寄りの者が、この木賃にわずろうていると聞きましたので」
「それじゃ、若い女を連れている小伜だろう」
「はい」
「隣だよ」無造作に、顎で板壁を指して、男はまた、蒲団をかぶって、ごろりと横になってしまう。
「ありがとうございました」すぐ足を移して、隣を見ると、そこには、破れた紙ぶすまが閉めてある。
「ごめん……」と今度は念を入れて、範宴は小声におとずれた。
七
けさ、法輪寺川のほとりで会った梢が、声をきくとすぐそこを開けて、
「お兄さんが見えましたよ」と、病人の枕へ、顔をよせて告げた。