轻松读懂日语经典作品
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しんらん
親鸞
吉川 英治
「名古屋新聞」1934(昭和9)年9月28日~1935(昭和10)年8月9日、1936(昭和11)年1月19日~8月<br>「台湾日日新報 夕刊」1934(昭和9)年9月30日~1935(昭和10)年8月12日、1936(昭和11)年1月7日~8月4日<br>「京城日報」1934(昭和9)年9月~1935(昭和10)年8月、1936(昭和11)年1月10日~8月<br>「神戸新聞」1936(昭和11)年1月5日~8月6日<br>「福日新聞」「北海タイムス」1935(昭和10)年9月~1936(昭和11)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 566,138 字 · 1127 页
「おぬし、なぜ、牛車と共に、お待ち申していなかったのじゃ」
「でも先方で、夜に入れば、必ず兵に守らせて、聖光院へお送り申しあげるゆえ、心おきなく、帰れというし、師の房も、戻ってよいと仰せられたから――」
「万一のことでもあっては大変じゃ。ちょっと、お迎えに行ってくる」
「いや、わしが行こう」覚明が、駈け出すと、
「覚明、覚明、今夜は、坊官の民部殿もおらぬのだから、おぬし、留守番していてくれい」
性善坊はもう、庫裡の方から外へ出ていた。
町へ近づくと、大路には、しきりに、犬がほえている。しかし、空の赤い光をたよりに駈けてきたが、加茂川の岸まで来ぬうちに、火のいろは消えて、その後ろの空が、どんよりと暗かった。
ばらばらと、辻から出てくる町の者に、
「凡下、火事はもう消えたのか」
「へい、消えたようでございますな」
「どこじゃったか」
「六条の、なんとやらいう白拍子の家と、四、五軒が焼けたそうで」
「ははあ、白拍子の家か。――では、近くに、貴顕のお館はないのか」
「むかしは、存じませんが、今はあの辺り、遊女や白拍子ばかりがすんでおりますでな」
「やれ安心した」ほっとしたが、凡下のことばだけでは、まだ何となく不安な気もするし、もう、師の房の法話もすんだころであろうと、性善坊は、走ることだけはやめて、足はそのまま五条の大橋を北へ渡って